「畑のエンドウに肥料を蒔いて欲しい」
母に頼まれた。
母は老齢で、脊椎管狭窄症を患い歩行が困難だ。
一日ほぼ、布団で横になっている。
横になれば足の痺れは無い。
今日はよい天気だ。
「肥料を蒔くから、一緒に外へ出よう」
母を誘い、シルバーカーを用意した。
転ばないよう、母の後ろにつき家の前の畑へ行く。
エンドウに肥料を蒔き、草取りをした。
シルバーカーに座った母は言った。
「情けない」
それは、自分の足で満足に歩けなくなったことに。
どんな顔をしていいのか、なんと言ってあげたらいいのか、
わからず悲しく辛かった。
数年前に亡くなった父も、
最後は歩くことができず、車椅子だった。
父を見て、母を見て、
そう遠くない時間に、自分もこうなるのだ
そう思った。